Project/Area Number |
02630037
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic history
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋元 英一 千葉大学, 法経学部, 教授 (00064113)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1990: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 1980年代 / 構造変化 / 消費のシステム / 蓄積のシステム / 地域経済 / サ-ビス経済化 / 中産階級 / レ-ガノミックス |
Research Abstract |
1.1980年代アメリカの経済をみる基礎視角として私が提示した(拙著『ニュ-ディ-ルとアメリカ資本主義』(東京大学出版会、1989年)「消費のシステム」と(蓄積のシステム」にかんして、1920年代ドイツのワイマル共和制の崩壊の原因をめぐるドイツでの「ボルヒャルト論争」を知ったのは収穫であった。ボルヒャルトらは、1924ー29年間の低投資ー高賃金(それゆえ高消費)構造が、恐慌期のブリュニンク政権の政策的選択肢を制約し、有効な拡大政策をとれなくしたと主張したが、ホルトフレリッチらは、恐慌期にも拡大政策を望む民意は十分にあり、ナチスがそれを政権奪取の方向に嚮導したと反論した。この論争では、ワイマル期に消費のシステムが蓄積のシステムを凌駕とた可能性、および、政治と経済の関連、政策的選択肢の評価をめぐる問題などが語られ、経済史分析に対する普遍的な方法的貢献として読み込むことが可能である。 2.拙稿「1980年代アメリカ経済の発展と地域」などでの考察によると、1980年代には生産性は一定の伸びを示し、雇用は1700万人にも増えたにもかかわらず、GNPに対する賃金シェアはほぼ一定であり、賃金部分からの投資に対するマイナス効果はなかった。国内でも不足する投資資金は潤沢に海外から流入していたから、それがレ-ガン政権期の軍拡と高消費を支えた。この時期アメリカでは生産性の上昇の果実は賃金に還元されず、むしろ利子所得の増加などによる金利生活者国家化が進行した。 3.サ-ビス経済化やハイテク化の進行は、伝統的な製造業のような安定した賃金や雇用を保証せず、労働市場は少数の技術者エリ-トや熟練労働者と、不熟練の低賃金労働者に分極化した。これは、一方で消費市場の両極化を生み、他方で、サンベルト-スノ-ベルト論争時にはなかったような東西の海岸線の地域に繁栄を偏らせるような地域経済の不均等発展に導いた。 以上の結論は中間的なものであり,収集した資料・文献により本格的な作業を準備中である.
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