Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究を実施するに先立ち,伊藤積分をファイナンスに適用することを慎重に検討してみると,マルチンゲ-ルの仮定そのもが,無前提に用いては危険なものであることが判明した。この発現については,「ファイナンスのための確率過程入門」の中で,発表してある.このことは,特に,実証研究についての注意深さを要求することになる.特に、近年強調されている“分散変動モデル"をファイナンスの問題に無反省に適用することは極めて危険である。このような基本的な問題が,十分に吟味されることなく研究が進んでいることは奇妙なことであり,早急に対策が取られるべきである。しかし,この問題自身が,オプションの価格付けの問題以上に十分な検討を要する問題であり,この問題は次年度への課題として残された。 以上のことを未解決にしたままで,とりあえずオプションの価格づけに関する各種のシミュレ-ションを行なった。その結果,新しい問題点として,証券価格の分散変動(この存在はもはや疑わない)を考慮にいれても,なお,安定パレ-ト分布の仮説はすてきれないことがうかびあがってきた。 これらのことを無視して結果を表面的にのべれば,ヒストリカルボラティリティの信頼度の低さがうかびあがってくるが,それ以上に,証券価格変動の性質に関する十分な再検討が必要であるというのが現段階での結論である。
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