Research Abstract |
当該年度において,上記研究課題の量子群を含む,数理物理上のいくつかの主題(場の量子論,ソリトン方程式)及び,コンピュ-タ-科学について著しい研究の進展があった。まず,代表者上野は,非compact量子群SU_q(1,1)の球関数に対するPlancheralの公式を,カシミ-ル作用素に対応するqー差分作用素のスペクトル構造を調べることにより証明した。(Spectral Analysis for the Carimir Operator on the Quantum Group SU_q(1,1),Boc.Japan Acad,vol66 SirA(1990))注目すべきは,リ-群SU(1,1)に対する同種の公式に現われないユニタリ-表現の系列がPlancheralの公式に関与するという事実である。すなわち,ユニタリ-表現の主系列の構造が,量子群SU_q(1,1)とリ-群SU(1,1)では全く異なるのである。さらに,上野は,高ランクの量子対称空間の球関数論を考察した。(Zonal Spherical Functions on Quantum Symmetric Spaces and Macdonald's Symmetric Polynomials to appear in the Proceedings of the 1st Somester on Quantum Groups,EIMI,Leningrad '90)量子対称空間GL_q(n)/O_q(n)を然るべく定義した後,n=3の時,この空間上の不変q差分作用素を計算し,結果として,組合せ論,代数群において重要な役割を演ずるMacdonalの対称多項式が球関数であることを発見した。これは量子群の研究において画企的なことと信ずる。この方面の研究は現在も継続中である。また分担者群敏昭は,無限次元グラスマン多様体上の自由フェルミ場の理論を拡張すべく,S^3上のディラック方程式の固有関数で張られる無限次元グラマン多様体の理論を構築し,場の量子論への応用を試みた。堤正義はソリトン方程式のCauchy問題,境界値問題の研究で進展を見た。最後に,廣瀬健は,コンピュ-タ-・アルゴリズムについて基礎論からのアプロ-チを行った。
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