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¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
太陽フレアで発生する100keVから10MeVの硬X線およびガンマ線の偏光度を測定するために,プラスチック・シンチレ-タの散乱体の周囲に4個のNaIシンチレ-タを配置した偏光計を開発した。プラスチック・シンチレ-タ(直径1インチ,高さ3インチ)は,入射光子にコンプトン散乱をおこさせ,その際に放出される反跳電子を吸収し,そのエネルギ-を測定する。この散乱体の周囲には4個のNaIシンチレ-タ(直径3インチ,高さ3インチ)が,それぞれ直角方向に配置されており,散乱光子を吸収してそのエネルギ-を測定する。プラスチック・シンチレ-タとNaIシンチレ-タとの同時計数をとることにより,入射光子によるイベントのみを選択し,バックグラウンド成分を除去する。本偏光計により散乱光子の方位角分布の指向性が測定され,その結果から入射光子の偏光度を決定することができる。本研究では最初に偏光計を構成するプラスチック・シンチレ-タおよびNaIシンチレ-タの基礎的放射線特性を測定した。入射光子の散乱体として使用されるプラスチック・シンチレ-タには発光効率が最も高いNE102Aが用いられ,反跳電子の検出可能なエネルギ-不限値として5keVが得られた。またNaIシンチレ-タに対しても吸収光子の波高分布から検出可能な散乱光子のエネルギ-下限値として5keVが得られた。これらの測定にはFeー55,Cdー109,Amー241のX線源およびCsー137,Coー60,Naー22のガンマ線源が用いられた。次いで偏光計の検出効率を決定する実験がX線源を用いておこなわれた。この結果,60keVで20%の検出効率が得られた。検出効率の向上をはかるためには,プラスチック・シンチレ-タの検出可能なエネルギ-下限値を小さくすることが,有効であることが分った。一方,検出効率は,計算機シュミレ-ションによっても求められ,実験結果とほゞ一致する結果が得られた。
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