モリブデン・クラスタ-化合物における半導体ー金属転移と電子局在・磁性
Project/Area Number |
02640263
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
奥田 喜一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (50028205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 悟 大阪府立大学, 工学部, 助手 (70180718)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | モリブデン・クラスタ-化合物 / Ga_<0.5>Mo_2S_4 / 強磁性 / 超高圧 |
Research Abstract |
モリブデン・クラスタ-化合物Ga_<0.5>Mo_2S_4は,モリブデンとして,唯一,強磁性磁気秩序を示す興味ある物質であるが,その強磁性の起源を探るため,帯磁率、比熱、強磁場磁化温程、更に、超高圧下での電気伝導性の研究を行った。 結果の概略を以下に述べる。 1.比熱はTs=44KとTc=20Kにピ-クを示す。前者は構造相転移(高温側立方晶,低温側菱面体晶)に,後者は強磁性磁気秩序を意味する。特に、温度域Tc〜2Tcに異常に高γ値(【similar or equal】200mJ/mol・K^2)が観測され,重い電子系の存在或いはアグノン励起が高温域まで生き残っていることを示唆している。 2.高温域帯磁率から求めた有効磁化は四面体Moクラスタ-当り1.74μ_Bであり、一方、4.2kにおける強磁場磁化は四面体Moクラスタ-当り1μ_Bの飽和磁化を示す。 これらの結果は共にMoクラスタ-当り1ケの不対電子が局在し磁化を担っていることを意味する。 3.温度域Tc〜2Tcにおいて1/xーT^2依存性が観測され,StonerーWorfarthモデルに基いた遍歴弱強磁性を示唆している。 4.42GPaに到る超高圧下での等圧抵抗温度依存性の測定が阪大極限物質研究センタ-遠藤教授の協力のもとに行われ、その結果,略に38GPaにおいてエネルギ-・ギャップは消失し半導体から金属へ転移することを確認した。また、この金属化は一次転移を伴わなかった。本実験での最高圧42GPa加圧下で温度が室温以下2kまで可変されたが,この範囲において、初期に期待した金属状態での超伝導への転移は認められなかった。これは、Moー4d電子系による強磁性磁気秩序が超伝導の発生を押えているものと推測される。 今後は、中性子回析、NMRの測定を行い、この物質の強磁性発現のミクロな機構解明を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)