Project/Area Number |
02640295
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
鈴木 洋 上智大学, 理工学部, 教授 (70053486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高柳 俊暢 上智大学, 理工学部, 助手 (00154914)
脇谷 一義 上智大学, 理工学部, 講師 (10053604)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 電子衝突 / スピン禁制遷移 / 散乱断面積 / 原子分子 / 原子過程 |
Research Abstract |
研究目的:電子衝突による原子分子の励起過程のうちで、一重項→三重項遷移のようなスピン禁制遷移は、ふつう電子の衝突エネルギ-が低く散乱角が大きい場合に起こりやすいと考えられている。事実、Heの1^1S→2^3P遷移の場合には励起微分断面積は比較的低エネルギ-でかつ大きな散乱角で極大値を示すことが知られている。しかしながら、Heの1^1S→2^3S遷移の場合には、比較的高い衝突エネルギ-で小さな散乱角で励起微分断面積が異常に大きい値を示すことが1973年頃 Lassettreのグル-プによって指摘されていた。本研究の目的は、ふつう因難とされている0゚近辺の微小角での測定を良い精度で行ない、この型の遷移につき正しい微分断面積を決定するとともに、2^3S遷移のように、一重項→三重項遷移のうちで始状態と終状態の軌道角運動量の変化を伴わない場合に特有の励起微分断面積の振る舞いの一般的特徴を明らかにすることである。 研究成果:上記の目的を達成するため、現有の電子エネルギ-損失スペクトル装置を改造して、比較的高い分解能(約1゚FWHM)で測定が出来るようにし、さらに散乱角度の較正を正確に(誤差約0.2゚以内)行ない0゚を含む微小角での測定を行なった。Heー1^1S→2^3S遷移に対する実験結果は次の通りである。1.衝突エネルギ-100、200、および500eVにおいて、散乱角0゚ー15゚の範囲で微分断面積を測定した。例えば、エネルギ-500eVでは、散乱角4゚から0゚までの間に、断面積は約3桁増大し、0.075aCC0^2/srという値に達する。2.散乱角0゚における断面積をエネルギ-100ー800eVの範囲で測定した。200ー800eVでの断面積はLassettreらの値より約1桁大きい。この食い違いは、電子スペクトルのS/N比、角度分解能および角度の信頼度の違いに依るものと説明される。今後は、N_2のX^1Σ_g^+→E^3Σ_g^+など分子における同様の遷移につき研究を進める予定である。
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