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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
芳香族化合物とクロムヘキサカルボニルより容易に合成できる(アレ-ン)クロム錯体は,特徴ある性質を有し有機合成に幅広く利用されている。しかも,芳香環上オルト位,あるいはメタ位に異なる置換基をもつ二置換のアレ-ンクロム錯体には光学異性体が存在する。これらのクロム錯体を各々光学活性体として合成することは重要である。まず,オルト置換ベンジルアルコ-ルのクロム錯体をイソプロペニアセテ-ト存在下,種々のリパ-ゼで速度論的にアセチル化して光学分割すると,高い光学純度で(S)ー体のクロム錯体がアセチル化され,未反応のアルコ-ル体のクロム錯体は(R)ー体であることがわかった。 次に,市販の光学活性フェネチルアミンより得られる(N,Nージメチルフェネチルアミン)のクロム錯体をtーBuLiで処理すると,二つのオルト位の一方のみがリチオ化され種々の親電子試薬と反応して光学活性な二置換アレ-ンクロム錯体を与えることがわかった。その際,リチオ体にアルデヒドを反応させると新たに生じたベンジル位不斎中心は一方の絶体配置をもつ錯体が優先的に得られた。一方,先にホルミル基を導入しておきRLiを反応させると他方の絶対配置を有する錯体が優先的に得られた。このようにして合成した両ベンジル位に不斎中心をもち,かつ芳香環上に不斎面をもつクロム錯体を配位子としてベンズアルデヒドの不斎エチル化をおこなった結果,高い光学純度でαーフェニルプロパノ-ルの得た。又,フェネチルマグネシウムクロリドとビニルブロマイドとの不斎クロスカップリング反応を検討した。 又,(アレ-ン)クロム錯体の特性を利用して,興味ある生理活性を有するジテルペノイドに一種,ジヒドロキシセルラティン酸の全合成をおこなった。
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