Research Abstract |
1.2ーアセチルー5ービニルベンジルオキシフェノ-ル(AVP)を配位子とするNi(II)及びAl(III)錯体,[Ni(avp)_2(H_2O)_2]及び[Al(avp)_3]を合成し,それぞれをTHF中,AIBNを開始剤としてアクリルアミト(AM),メチレンジアクリルアミド(MDAA)と共重合させた後,HCI処理して金属イオンを除去した樹脂(1:2型及び1:3型鋳型樹脂)を合成した。同様にして,MDAAの代わりにジビニルベンゼン(DVB)を橋架け剤とする鋳型樹脂も合成した。また,比較の為に,AVPとAMとMDAA(またはDVB)を共重合させた樹脂(非鋳型樹脂)も合成した。これら樹脂の重合モル比はAVP:AM:MDAA(DVB)=1:5:0.15である。 2.上記樹脂を100〜300メッシュに粉砕し,バッチ法により各種金属イオンの吸着挙動を調べた。金属イオンは原子吸光法またはICP法により定量した。その結果,(1)金属イオンが吸着されるpHの下限はPd^<2+>(pH1〜3)>Ga^<3+>(2.5〜4.5)>Cu^<2+>(4.5〜6.5)>Ni^<2+>,Co^<2+>,Zn^<2+>(7〜9)であり,本樹脂はPd^<2+>,Ga^<3+>,Cu^<2+>に対し選択性を示した。なお,Pb^<2+>,Cd^<2+>,Al^<3+>,In^<3+>は吸着されない。(2)二価金属イオンは1:2(M:AVP)の錯形成をして吸着される。(3)鋳型樹脂の方が吸着pHが0.2〜0.6程低く,鋳型樹脂の吸着能(生成定数)は非鋳型のものに比べ,Cu^<2+>の場合,低金属イオン濃度では1.6倍,高濃度で5.6倍高い。Ga^<3+>に対しては1:3型鋳樹脂の吸着能は非錯型に比べ約1000倍高い。 3.反射スペクトルから,Ni^<2+>,Co^<2+>,Cu^<2+>は鋳型及び非鋳型いずれの樹脂中でも[M(avp)_2(H_2O)_2]の構造をとる。その事はNi^<2+>吸着樹脂の磁化率測定およびEXAFTの測定から支持された。 4.各樹脂のCu^<2+>最大吸着量(mmol/g),Cu^<2+>吸着平衡到達時間(min),及び膨潤度は,それぞれ,MDAA系鋳型で0.63,10,3.8,非鋳型で0.56,30,3.2,DVB系鋳型で0.56,60,2.4,非鋳型で0.53,60.1.9であった。ジオキサン添加実験から,Cu^<2+>吸着量は樹脂の膨潤・収縮の度合により大きく影響される事がわかった。
|