Project/Area Number |
02640492
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
遺伝学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沓掛 和弘 広島大学, 生物生産学部, 助教授 (90143362)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 細菌鞭毛 / 分子集合 / 調節因子 / 抑圧突然変異 / 遺伝学的解析 |
Research Abstract |
サルモネラの鞭毛は基体・フック・繊維の3つの部分構造からなる運動器官であり、20種類以上の蛋白質分子が重合してできた高次構造体である。その形態形成には40個近い遺伝子の機能が必須であるが、これらの遺伝子産物の中には、鞭毛遺伝子の発現調節因子や鞭毛構造体の構成素材であるもののほかに、鞭毛構成素材の分子集合の調節因子として機能しているものも存在するはずである。しかしこれまでのところ、蛋白質分子集合の調節因子であることが証明されている遺伝子産物は皆無に等しい。ところでfliDは繊維の、fliKはフックの形成に必須の遺伝子として知られているが、これらの遺伝子産物はそれぞれの構造の構成素材蛋白質ではないことから、これらの遺伝子産物はそれぞれの構造体の構成素材蛋白質であるフック蛋白質(FlgE)やフラジェリン(FliC)の分子集合を制御する調節蛋白質である可能性が高い。この点を明らかにする目的でfliDおよびfliKのNull突然変異体から抑圧突然変異体を単離することを試みた。fliD突然変異体からは、多数の抑圧突然変異体が単離されたが、いずれもその抑圧効果はきわめて低かった。これらの抑圧変異点を導入を用いて決定したところ、fliD遺伝子のすぐ近傍に位置づけられた。fliDの下流にはこれと同一オペロンを形成する機能未同定の翻訳枠が3つ存在していることから、これらの翻訳枠のどれかがこの抑圧機構に関与しているものと考えられ、fliDオペロンの遺伝子群は共同してフラジェリン分子の集合を制御しているものと推定される。一方fliK突然変異からは3つの抑圧突然変異体が単離され、導入やクロ-ニングによる解析の結果flhB遺伝子内に起こった突然変異であることが判明した。これまでflhB遺伝子の機能は基体形成の初期反応に関与すると考えられてきたが、フック形成にも重要な役割を演じている可能性が高くなった。
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