原核生物の細胞分化開始過程に影響を及ぼす変異型主要シグマ因子の構造と機能
Project/Area Number |
02640493
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
遺伝学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 富士夫 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (10126039)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 枯草菌 / 胞子形成 / 細胞分化 / 主要シグマ因子 |
Research Abstract |
枯草菌の細胞分化(胞子形成)は栄養源は欠乏により誘導される一種の環境に対する応答反応である。しかしその開始機構については現在でも不明な部分が多い。我々は胞子形成開始に最も重要な働きをするSpoOA遺伝子が2つのプロモ-タ-(Pv,Ps)により転写レベルで制御されていることを明らかにした。Pvは栄養増殖期に弱く転写され胞子形成開始期にはPvからの転写が止まり、Psからの活発な転写が誘導される。このPsからの転写誘導はspoOA,OB,OE,OF,OHの遺伝子産物に依存し、またグルコ-スの添加により抑制(カタボライト抑制)をうける。 我々は高温感受性spoOA変異株をサプレスする3種類の自然突然変異株の遺伝子学的解析を行なった結果、これらはすベて主要シグマ因子(rpoD)の変異であることを見い出した。さらに初めて主要シグマ因子の高温感受性突然変異株(rpoD21)の単離に成功し、主要シグマ因子が胞子形成の開始および初期過程に必須であることを示した。これらの変異をdideoxy法により塩基配列を決定したところ、sat4,sat5,sat12,ropD21のいずれもが1塩基置換のミスセンス変異であった。spoOAts_<ー7>株は高温でPsからの転写が見られなかったが、sat5をもつ二重変異株ではPsの転写が野生株のそれと同じであった。sat4,sat12ではPvからの転写が胞子形成開始後も停止することなく続くことによりspoOAts変異をサプレスするものと考えられる。これはsat4,sat12の変異がプロモ-タ-のー10領域を認識するとされているRegion2に見い出されたことからも支持される。さらにこれらの主要シグマ因子の変異株とIPTGで誘導可能なシグマH(spoOH)を利用してPsの転写誘導活性を調べることにより、Psは時期特異的にシグマHをもつRNAポリメラ-ゼにより転写されることが強く示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)