Project/Area Number |
02640507
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態学
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
冨永 裕之 名古屋大学, 水圏科学研究所, 助手 (10022625)
|
Project Period (FY) |
1990
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 酸性 / 塩湖 / 塩分 / Chlamydomonas / 金属イオン |
Research Abstract |
南オ-ストラリア内陸部の酸性塩湖より単離したChlamydomonas sp.を用い、バッチ培養実験により生長特性を明らかにした。 この藻株は生長に塩分を必要とし、至適塩分濃度は15%NaClで、飽和濃度でも生育でき1%では生育できない耐塩性の藻株であった。他の耐塩性藻類と同様に、外界の浸透圧に対して細胞内に大量のグリセロ-ルを蓄積して対抗していた。 至適pHは3.5で、pH1.5以下6.5以上では生育できない好酸性のものであった。耐塩性藻類、好酸性藻類それぞれの報告はあるが、両方の性質を兼ね備えている藻株はこれまでに報告がない非常に珍しいものである。 至適温度は25℃で、33℃以上では生育できない中温株であった。 高塩分濃度、酸性条件のため、光合成に必要なCO_2が不足がちとなるのでモノ-ド型振盪機を用いて穏やかな振盪培養を試みたが、静置培養と差はなかった。 ^<14>CO_2の取り込みの至適pHは4ー5であった。 この藻株を採取した塩湖の湖水中には、酸性条件のため回りの土壌から溶出した金属イオンが大量に存在していた。そこで種々の金属イオンに対する耐性を測定したところ、いずれに対しても高い耐性を示し、特にMn、Zn、Hg、Feに対しては高い耐性を持っていた。 世界的に酸性雨による被害が騒がれている現在、自然水の酸性化、その結果土壌から溶出した有害金属イオンによる毒性に抵抗するため、このような好酸性藻類の生長の基本特性についての研究は重要である。また、さらにその金属耐性についての研究も早急になされなければならない。西欧では酸性化した自然水をアルカリで中和しているが、その結果塩分濃度が上がることも考慮にいれなければならない。その際この藻株のもう一つの特性の耐塩性も長所となろう。
|