Research Abstract |
山陰地方の中新統の再検討を行ない,従来の資料も参考にしながら層序対比表を作成した.山陰地方の中新統堆積区は西海区,瀬戸内区,山陰・北陸区に分けられているが,その境界については不明瞭であった.今回,西海区は下位に厚い漸新世の海成〜湖成堆積物を伴う地域と再定義し,山口県油谷湾以西に限定した.瀬戸内区は山口県須佐から島根県浜田までで,江津以東を山陰・北陸区とした.山陰・北陸区をさらに(1)江津〜米子,(2)鳥取以東,(3)島根半島,(4)隠岐諸島に細分した.コリア半島東岸のヤンナム盆地は前期中新世にはげしい火成活動を伴うという点で山陰・北陸区の(1)または(2)の地域に,またポハン盆地は火成作用に乏しい中部中新統からなる点で瀬戸内区に類似する.しかし,ポハン盆地の中部中新統上部には珪藻質堆積物がみられるのに対し,瀬戸内区のこの時期の堆積物には極度に閉鎖的な環境を示す有孔虫群集がみられる.この違いは,日本海の拡大に関係する大陸側と島孤側の応力場の相違による古地形の現れ方を反映したものと考えられる. 火成岩類のKーAr年代測定,記載岩石学,全岩主・微量成分分析およびSr・Nd同位体測定を行なった結果,1)山陰地方では40ー30Maにリソスフェア-が組成的にそれ以前のものと異なったものに改変され始めたとみられ,これは日本海拡大の先駆的活動と位置づれられること,2)23Maに始まり14Ma頃まで続く島孤ソレアイトおよびカルクアルカリ系列の火成活動が山陰地方および韓半島東部で起っているが,この時期が日本海拡大のピ-クに対応していること,3)アルカリ岩系列の開始の時期が山陰地方では14Ma,コリア半島では15Ma,隠岐では22ー19Maと,地域によって異なっていること,などが明らかになった。
|