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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
微粒子の凝集を伴う材料の性質を論ずる場合には,その材料を極性物質として理論展開することが好ましいといわれている。従来の極性物質においては,幾何学的あるいは力学的な諸量が非局所効果を伴って導入されている。これに対し本研究では,熱力学的な量に関する極性を考慮し,非平衡の程度の強い過程における極性物質の性質を論じた。 そのためまず連続体の一点の内部に広がりを考え,その中に熱力学的量の直線的な分布を考慮した「熱極性物質」の概念をに導入した。さらに「勾配を制限した熱極性物質」の仮定を導入することにより,微視的な熱力学的量のゆらぎを,変数を増加させずに巨視的な量で表現することが可能となった。またこの仮定を導入せずに,偶熱流束なる新たな概念を用い,より厳密に定式化する理論体系を構成することにも成功した。これらを用いて熱極性物質に関する熱力学第1法則と第2法則を導くことができた。第1法則は熱単純物質における式と同形であるが,第2法則は,熱極性の特徴である温勾配と微小体積の二次モ-メントの影響をうけている。さらにこれらの式からClausiusーDuhemの不等式を導出し,応力に関する構成式の表現形式を導いた。局所平衡の仮定を用いた従来の応力は,非平衡過程を厳密に表現した本理論に基づく応力よりも,常に低い値を与える。また内部エネルギ-の値は局所平衡の仮定を用いた従来の値から計算される値よりも大きく,逆にエントロピ-は小さい値を与えることが判明した。さらにこれらの結論を検討するための実験について検討した。 一方,上の考え方を拡張し,瞬間の時刻の内部にさらに別の時間が存在するという時間極性物質の概念を提案した。この物質に関しても同様に応力に関する構成式の表現形式を議論した。その結果,従来の熱応力のほかに温度速度応力なる量を考慮する必要のあることなどが判明した。
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