Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
近年における回転機械の高速化・高性能化には目ざましいものがあり,この傾向は今後さらに続くものと考えられる。これにともない,回転機械の重要な支持要素であるすべり軸受の設計において,潤滑膜の乱流遷移,流体の慣性作用,表面あらさ,キャビテ-ション,軸受内部の発熱など高速・高性能化に付隨して現れる諸現象を考慮に入れた高精度の軸受性能解析を行う必要が生じてきている。とくに,軸受内部における熱的諸問題は,潤滑膜の乱流遷移や表面あらさ,キャビテ-ションなどと密接に関連し,軸受特性に著しい影響を及ぼすため,現象を広範囲の回転数領域に対して実験的に観察し,かつそれを的確に表し得る理論解析モデルを確立しておくことが重要である。すべり軸受における熱問題は既に数多くの研究者によって取組まれているが,そのほとんどすべてが層流域の潤滑膜流れを支配する通常のレイノルズ方程式とエネルギ方程式の連立解を求めることに終始し,また実験もこの観点から実施されており,これらの成果のみでは今後の高速・高性能化に対拠するには不十分である。本研究では,このような現状に鑑みて,軸受の高速・高性能化にともなって問題となる諸現象と熱問題の関連を明らかにするために,流体の低抗法則と等価圧力流れの概念に立脚して表面あらさを考慮した乱流潤滑方程式とエネルギ方程式,軸及び軸受内部の熱伝導方程式,さらにキャビテ-ションの影響を考慮した総合的な熱流体潤滑理論モデルの構築とその解法の開発を行った。さらに,この理論モデルをジャ-ナルすべり軸受に適用して,潤滑面がさまざまな表面粗さを有する場合の潤滑流体の温度分布,圧力分布,軸受諸性能を広範囲のレイノルズ数領域について数値解析により求めた。さらに,その結果を実験結果と比較して良い一致をみた。このことから,本研究の結果は高速軸受の熱流体潤滑理論の発展に大きく寄与し得るものと確信する。
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