Research Abstract |
本研究は,従来の代数的符号理論ではカバ-されない幾つかの実用的に重要な通信路に対して,より整合性の高い,新しい符号理論の構築を試み,その応用を検討することを目的として行われた. 主な検討項目は,(I)新しい多値誤り訂正/識別符号の理論を完成させる,(II)加法的雑音で特徴付けられる多値振幅変調方式,信号依存雑音で特徴付けられる多値光通信方式,Reyleigh雑音で特徴付けられる多値無線通信方式等に適合した多値誤り訂正/識別符号の新しい構成法を考案し,(a)符号化/復号化の容易さ,(b)計算機による符号語探索を含む効率の追及,に重点をおいて検討する.また,これらの成果に対して,(III)従来方式と比較を計算機シミュレ-ションにより行ない,本方式の有効性を確認する. 成果としては,準備段階のものも含めて,(1)整数環上で構成される多元符号の重みと距離に関する基礎理論の構築,(2)重み関数の基本的性質と各種具体例の導出,(3)符号の誤り訂正/識別能力と符号の最小距離との基本的関係の導出,(4)対称,非対称,一方向性等の各種多値誤り訂正/検出符号の基礎理論の確立,(5)各種符号の構成法の提案,(6)従来の通信路モデルと比較した性能改善,等を得た. 尚,本研究で対象とした符号は有限体あるいは有限環でなく,整数環にその基礎を置くものであり,ユ-クリッド距離,ハミング距離,リ-距離,非対称距離を含む各種の距離が導入可能である.更に,従来の誤り訂正/検出符号の概念を拡張した,誤り訂正/“識別"符号の理論が展開され,Unequal Error Protectionへの応用も含まれ,広範な応用が期待される.
|