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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本研究は希土類金属の特性,とりわけ強い還元力,ルイス酸性,新酸素性を利用して,他の金属では達成できない合成反応の開発を目指したもので以下の研究成果を得た。 1.α,βー不飽和カルボニル化合物の立体選択的還元反応。 α,βー不飽和カルボニル化合物はYb金属により高収率で,しかも立体選択的にシクロペンタノ-ル誘導体を与える。さらにこの反応は希土類塩化物(LnCl_3)をZnで還元し低原子価のLnを発生させても進行するが,Y,Eu,Yb,で特に収率,選択性が高く,f軌道の電子状態がこの反応の特性を決定している。さらにLnCl_3を触媒量用いても反応が進行することを明らかにした(論文1)。 2.イミン類の還元的カップリング反応。 ケチミンはYb金属によりアミンに還元される。他方アルジミンはカップリング反応を起こし,1,2ージアミノエタン類を与える。さらにケチミンとYbの錯体にCO_2を吹きこむと,αーアミノ酸が高収率で得られることを発見した(論文2,6)。 3.ジアリ-ルケトンとYb金属によるオキシメタラサイクルの合成。 ジアリ-ルケトンとYb金属を反応させるとYbのオキシメタラサイクル中間体の結晶が得られた。この錯体は非常に不安定でX線回析による構造決定は未完であるが,スペクトル手法および新電子剤によるトラップ実験でほぼその構造を決定した。またこの中間体と光学活性エポキシドを反応させると高純度の光学活性1,3ージオ-ルが合成できることを明らかにした(論文3,5)。 これらの結果は希土類金属の特性が新しい合成反応開発に有効な手段となることを示したものである。またこの萌芽的成果は2編の総説にまとめ,反響を呼んでいる。
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