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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
キレ-ト型の二座のホスフィン配位子の配位したモリブデンのテトラヒドリド錯体MoH_4(dppe)_2(1)(dppe=Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)をベンゼンまたはトルエン溶液中で光照射または加熱すると,ヒドリド配位子が分子状水素として脱離し,配位不飽和な活性中間体MoH_2(dppe)_2またはMo(dppe)_2を段階的に与えることが知られている.我々は以前に,この中間体の高い反応性を利用して,メタクリル酸エステルのオレフィン部分のCーH結合を選択的に活性化し,ヒドリドσーアルケニル錯体を生成することを成功している.本研究では,同じ手法を用いて,この活性中間体と,1.もともと活性なCーH結合を持つ基質であるβージケトン類との反応,2.環状有機イミドおよび有機アミド化合物との反応,を詳細に検討し,生成した新規錯体を,IR,NMRなどのスペクトル手法ならびに単結晶のX線構造解析によりキャラクタリゼ-ションを行った.その結果,1.においては,マロン酸ジアルキルエステルと類1との反応によって,CーH結合の活性化によりキレ-ト型のβージケトナト錯体MoH{CH(COOR)_20,0'}(dppe)_2(2)が,ヘキサフルオロアセチルアセトンF_6ーacacIIとの反応では(2)の他に反応条件によりカチオン性のジヒドリド誘導体[MoH_2(F_6ーacac)(dppe)_2]^+[F_6ーacac]^ーが生成した.さらに,1とアリルマロン酸ジエチルとの反応では,アリル基のビニル位のCーC結合の切断を示唆する,環状アルキル錯体と推測される生成物を与える極めて奇異な反応が起こった.これについては現在さらに検討を続けている.2.については,いずれの場合にも選択的なNーH結合の活性化により,MoーN結合を持ったヒドリド錯体が生成した.アミド基がこのような形で遷移金属に配位した錯体の例はこれまでに極めて少なく,イミドとの反応により生じた錯体,アミドとの反応により生じた錯体とも,X線構造解析によりその分子構造が確定された.
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