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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
わが国は世界の代表的な火山国である。そのため火山噴煙物質の土壌化によって生じた火山灰土が広く分布しており,農業にとって重要な土壌となっている。一方,腐植物質は土壌の物理性,化学性,生物性および肥沃性に多大な影響を及ぼしているが,この物質の生成に関しては未だ不明な点が多い。本研究の目的は,火山灰土における腐植物質の生成過程を非生物的および生物的な側面から解析しようとするものである。 1.マンガン酸化物による腐植様物質の生成は,出発物質の化学構造によって顕著に影響されるが,生成した腐植様物質の光学的性質(UV,Visible,IRスペクトル)は,火山灰土から分離した腐植物質のそれらに類似していることを明らかにした。また,酵素も腐植様物質の生成を触媒すること,その際には酵素の基質持異性が重要であることを認めた。 2.火山灰は,火山灰土の母材である。火山灰自身でも腐植物質の生成に対して触媒効果を有することを初めて明らかにするとともに,火山灰に含有されている遊離酸化物が活性な成分であることを認めた。 3.ススキなどの草原植物を炭化させた場合に得られた腐植物質が,物理化学的性質(元素組成,X線回析,NMR,ESR)および光学的性質からみて,火山灰土の腐植物質に非常に類似していることを指摘するとともに,土壌の加熱によって新生した腐植物質も火山灰土のそれらに類似するようになることを明らかにした。 4.以上本研究で得られた結果から,わが国の火山灰土における腐植物質の生成機構を推定した。 (1)土壌無機成分および酵素の触媒力による腐植物質の生成 (2)人間活動および自然による植物遺体・土壌有機物の加熱によって生じる腐植物質の生成 得られた結果は,学術論文として発表された。
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