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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究は,牛乳中の主要なアレルゲンであるβーラクトグロブリン(以下βーLG)の抗原構造をタンパク質工学的手法を用いて変換し,その低アレルゲン化が可能であるかどうかを検討しようとするもので,3つのステップからなっている。第一はβーLGの中のT細胞エピト-プの解明とその選択,第二はβーLG遺伝子(cDNA)の微生物による発現系の確立,第三は以上の知見に基づき,部位特異的変異を誘導したβーLGの発現とその解析である。本年度の研究においてはこのうち最初の2つのステップについて実験を行い,以下の結果を得た。 1.βーLG中のT細胞エピト-プを,トリプシン,キモトリプシン分解ペプチド等を用いて探索した結果,21ー40,41ー60,59ー82,102ー124,123ー140などの部位にT細胞エピト-プが存在することが示唆された。このうち21ー40はT,B両エピト-プを含み,それ自体高い免疫原性を有していたので,本領域に相当する合成ペプチド及び部分合成ペプチドを調製し,エピト-プの限局化を試みた。その結果,30ー38の領域がT細胞エピト-プであることが明かになり,本領域のアミノ酸の置換が低アレルゲン化の試みにとって有効であろうと考えられた。 2.ウシβーLGのcDNAをクロ-ニングし,その全翻訳領域を含む断片を酵母発現ベクタ-pYG100の酵母グラセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素遺伝子のプロモ-タ-とタ-ミネ-タ-の間に挿入し,発現プラスミドを構築した。S.cerevisiae AH22を形質転換し,最小培地で培養したところ,その培養上清中に1mg/lのβーLGが抗βーLGモノクロ-ナル抗体を用いたサンドイッチELISA法により検出された。 3.30ー38の領域中のアミノ酸を置換したβーLGを上記のような発現系で作成し,その抗原性,免疫原性を検討すればβーLGのアレルゲン性の機構に関する重要な情報が得られるものと期待される。
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