Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
大脳皮質の神経回路網の形成過程を明らかにする目的で,その回路網に加わる交連線維が大脳皮質内のどのようなニュ-ロンに由来するのか,また他側大脳皮質でどのような神経連絡を作るのかについて今回交付をうけた科学研究費を使用して研究した。1.WGAーHRPによる交通線維起始ニュ-ロン標識実験:本研究費で購入した電気刺激装置とアイソレ-タ-を用い,生後1,7,14及び21日目のラット右大脳の頭頂部へ電気泳動法によりWGAーHRPを注入し,交連線維起始ニュ-ロンを逆行性に標識した。生後各時期において,左大脳皮質第III層に位置する錐体細胞が標識されていた.2.軸索変性法による交連線維の神経連絡形成についての研究:生後1,4,7,14及び21日目のラット右大脳頭頂部(感覚・運動領)を電気焼灼した後,左大脳皮質を電子顕微鏡で観察し,軸索の変性像を指標に交連線維の大脳皮質内の分布と本線維の大脳皮質ニュ-ロンとのシナプス連絡の形成過程について調べた.生後4日目までは,左大脳皮質内に変性軸索を見出すことは出来なかった.しかし,7日目になると大脳皮質第V層に,14日目では第VーIII層に,そして21日目では第VーI層の全層に変性像を示す交連線維の分布することがわかった.これら線維はそれぞれの層内で軸索ー胞体型と軸索ー樹状突起型シナプス結合を作っていた。とくに,21日目になるとこれら2型のシナプス結合に加えて軸索ー棘突起型シナプス結合を第IIIーI層に形成していた。以上の研究結果から,交連線維起始ニュ-ロンは大脳皮質第III層に位置する錐体細胞であり,本細胞より出る交連線維は生後1日目で他側の大脳髓質に到達し,7日目以後大脳皮質に現われるようになり,その深層第V層より表層第I層へと神経連絡の形成を進め21日目にはほぼ成体でみられるのと同様の神経連絡をとるようになることが明らかとなった。
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