Research Abstract |
オピオイドによる耐性発現材序を明らかにするには,オピオイドの反復投与による受容体数の変化を明らかにすることが,最初に必要である。私達は,予備実験で生後14日目のラットに,[DーAla^2,Dーleu^5]ーenbephalin(DADLE)を4時間毎に3日間反復投与すると,デルタオピオイド受容体の数が著しく(60%以上)減少することを見い出した。そこで今回は生後15日前後のラットを用い,(1)DADLE反復投与による受容体数減少に要する,投与量,および投与回数などを明らかにすること,(2)オピオイド受容体アンタゴニストのnaloxone(NOX)を,DADLEと同時に反復投与した場合の受容体数の変化を明らかにすること,および(3)受容体数の回復に要する時間を明らかにすること,などを研究の目的として実験を行った。その結果,(1)1mMのDADLEを4時間毎に0.1ml/10g,2ー6回皮下投与し,量終投与後4時間目のラット脳内デルタオピオイド受容体数の変化を検討したところ,投与回数の依存した有意な減少が認められた。なお,1回だけ投与した場合にも有意な減少が認められた。(2)しかし,0.1mMのDADLEを3回投与した場合には,有意な減少な認められなかった。(3)また,1mMのNOXを1mMのDADLEと同時に2ー6回反復投与すると,いずれの場合もデルタ受容体の減少は認められなかった。(4)なお,1mMのDADLEを3回反復投与後,4,24および168時間に,脳内デルタ受容体数を調べると,投与後4時間目に認められた有意なデ-タ受容体の減少は,24時間目には完全に回復せず,168時間目に完全な回復が認められた。以上の実験結果により,(1)DADLEを反復投与すると比較的短い時間経過で脳内デルタオピオイド受容体が減少すること,(2)減少はNOXで括統されること,および(3)減少は1日以上7日以内に回復すること,などが明らかにされた。
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