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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究の目的はヒト大腸癌発生メカニズムの解明の一環として腺腫由来の早期大腸癌と大腸de novo癌の遺伝子変化異同を明らかにすることである。そのために採用したアプロ-チは,ホルマリン固定パラフイン包埋された大腸正常粘膜および大腸腫瘍組織(腺腫と腺癌)からDNAを抽出して目的の遺伝子領域をPCR(polymerase chain reaction)法にて増幅し,点突然変異または遺伝子欠失を検索するということである.本年度の計画の重点はサンプリング時のクロスコンタミネ-ションの防止対策とPCRの最適反応条件の決定にある. 1.当初の計画では厚切り無染色切片を対象に考えたが,材料(特に微小ないし早期de novo癌)収集の容易さと応用の広さを考慮してヘマトキシリン・エオジン染色(HE)標本(厚さ4〜6μm)から目的遺伝子領域を増幅することを試みた.キシレン・アルコ-ル系列にてHE標本のカバ-グラスを外し封入樹脂を除去した.次に顕微鏡下でマイクロマニピュレ-タと微小メスを用いてHE切片上の目的腺管をくり抜き切り取った.この時,間質などの切り屑がコンタミネ-ションの原因となり得るが,あらかじめHE切片を0.1%アガロ-ス溶液に浸して固めた後に切り取り作業を行なうと屑が散らばらずコンタミネ-ションを防ぐことができた.また,作業中に切片が乾燥して組織の細部構造が不明瞭になることもなくなった. 2.PCRテンプレ-トの収量減少とコンタミネ-ションを防ぐため脱色,フェノ-ル・クロロフォルム抽出,エタノ-ル沈澱,洗浄などの過程を省略し,ステップ数を減らした.実際の操作は次の通りである.0.5ml Eppendorf tubeの底に10μlの消化緩衝液(50mM Tris (pH8.3),1mM EDTA,0.5% Tween 20,200〜500μg/ml proteinase K)を入れ用意しておく.そこに切り取った腺管を入れる.反応中の乾燥を防ぐためミネラルオイル50μlを重層する.55℃にて3〜4時間インキュベ-ト.8分間98℃加熱によりproteinase Kを不活化.PCR反応基質,プライマ-(今回Kーras 2 コドン12をはさむ領域の25mer oligonucleotides,5'ーAAAATGACTGAATATAAACTTGTGGー3',5'ーCTCTATTGTTGGATCATATTCGTCCー3'),Taq polymeraseを追加してPCR反応を行なう(denature 97℃5分,97℃1分→55℃1分→75℃2分を40回,extension 72℃5分).種々のマニュアルや文献に記載されている方法に準じてPCR反応を行なった場合,無染色4μm切片では容易に増幅できたが,HE標本ではしばしばPCR産物が生成されなかった.原因として残存アガロ-スまたはHE色素による反応阻害が考えられた.しかしながら,proteinase K濃度を500μg/mlに増加し,proteinase Kの不活化を確実に行い,denature温度を高く設定(アステック社製thermal cycler使用時には上記のごとくアルミブロック温度で97℃)し,Taq polymeraseを十分に加え(1.5〜2倍量),各ステップの時間を長くすればPCR産物が形成された.これで十分な時はbooster PCRにより目的が達成された. 3.現在までのデ-タの蓄積は少ないが,De novo癌2例(m癌1例,sm癌1例)のKーras 2 codon 12に関しては点突然変異は検出されなかった。
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