Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 義友 日本大学, 医学部, 助手 (30241095)
林 仲信 日本大学, 医学部, 助手 (00228587)
河野 均也 日本大学, 医学部, 教授 (60059368)
西園 晃 日本大学, 医学部, 助手 (70218155)
岡野 匡雄 日本大学, 医学部, 助教授 (80102523)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1992: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1991: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1990: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
我が国の結核症は抗結核剤の普及で激減したが,欧米諸国に比べその死亡率は高い.最近では老年者,免疫不全者などでの発症が増加し,また抗結核剤耐性の結核症の出現もあり,結核菌の同定,早期治療,予防対策が急務となっている.これまで結核菌の同定は,主として培養系によって可能だったが,長時間を要する上に,検出率は必ずしもよくなかった。近年,遺伝子工学の進歩は目覚ましく,その手法はひろく応用されるに至っている.結核菌に関しては遺伝子構造はあまり明らかにされておらず,唯一19kDaの抗原蛋白がクローニングされているのみだった.我々はそのシークエンスのデータをもとに,プライマーを作成し,目的遺伝子領域をPCRにて増幅させ,アイソトープでん標識したプローブでPCR産物の検出を試みた.その結果,標準菌株に陽性反応が得られた.次に,患者の検体からの結核菌遺伝子の検出の検討した.結核患者8名の喀痰から,核酸を抽出し上記のPCRを行い,良好な成績を得た(平成2年度).したがって,従来の方法に比べ,迅速,高感度な検出系として応用可能なことが明らかとなった.臨床病理学的にも,肺結核の疑われた症例の病理組織切片から核酸を抽出し,そこから結核菌遺伝子の検出が可能であった.抗酸菌染色ではPCR陽性10例のうち,2例にしか結核菌がみられず,病理組織学的にも有用なことが示された(平成3年度).本年度は,結核菌遺伝子PCR検出系のより広い応用を目的として,非放射線性物質の利用を検討した.ジゴキシゲニン標識プローブでは,標準菌株の段階希釈で1pgオーダーが検出限界で,これは放射線プローブよりも劣っているが,実際のPCR産物の検出では両者は大部分一致していた.現時点では,非放射線性と放射性プローブの二段階の検出が効果的で,健常保菌者のスクリーニングにも有用と考えられる.
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