Research Abstract |
心筋には,異った機構によりその開閉が制御される数種のKチャンネルCoutward type,inward type,ATP依存性Kチャンネル等)が存在し,各々が,病態生理において重要な役割を担うことが示唆されている。これらのうち,outward typeに関しては,本遺伝子が,shaker遺伝子と,ホモロジ-が高いことより,この一年間のうちに,いくつかのグル-プより,脳,心筋でのクロ-ニングの成功が学会発表されている。我々も,家免脳より,Kチャンネル遺伝子の単離を行い,その塩基配列を決定した。得られたクロ-ンは,全長2.3kbで,1431b.p.のopen reading frameをもち,477残基のアミノ酸をコ-ドしていた。計算上の分子量は53879であった。本遺伝子は,ラット脳で報告されているRBKIと80%以上の相同性をもち,特に膜貫通部は,H_2でI→F,H_4でF→Iの相違が認められるのみで,その他のアミノ酸は全て一致していた。本クロ-ンをT_7プロモ-タ-をもつベクタ-に組み込むことより,cRNAを作製し,これをXenopus oocyteに注入,その発現蛋白を電気生理学的に解析した。その結果,膜電位依存性にSNAのAtupe outward電流が観察された。この電流はTetra ethyl ammonium(EC50=10mM),4ーAmino pyridiue(EC50=0.1mM),及び,Banium chloride(EC50=10mM)により抑制された。また,外液のK濃度を変化させた際のreversal potontialが100mMであることより,本電流はK電流であることが観察された。本クロ-ンはoocyte注入后,24時間以内に,その蛋白が発現されることより,今后oocyte発現系における有力なpositive controlとして用いることが可能である。そこで,本クロ-ンの発現を指標として,現在,その構造解明にしのぎがけずられているin ward type,及びATP依存性Kチャンネルの発現クロ-ニングを遂行中であり,来年度中には,その構造が我々の手により解明されることが期待される。
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