Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
難治てんかんに対する外科治療として脳梁離断術が再評価されつつあるが,その理論的根拠は明らかではなくその適応症例の選択基準も確立していない。てんかん発作神経活動の他半球への伝搬阻止を期待して始められたものであるが,いわゆる全般発作に有効でしかも,発作波が術後完全に消失する症例がみられることは,単に「発作波の反対側への波及阻止」のみでは説明困難で,てんかん発作が「脳梁を介する両側脳構造の相互作用」で発現する可能性,「てんかん発作発現閾値の脳梁の介する制御」を考慮する必要があると考えられる。本研究は,このようなてんかん病態における脳梁機能を実験的に明らかにすることを目的に行った。最初に,全般てんかんの動物モデルと考えられているペニシリン全身大量投与モデルを用い,脳梁離断の前後でグルコ-ス代謝率の測定を試みた。しかし,このモデルは,わずかな脳内移行率を利用して,広範な脳部位に同時に少量のペニシリンを作用させようとするものであり,脳梁離断のような手術操作によってその状態(ペニシリンの脳内濃度)が大きく変化することが避けられず,本実験には不適であることが判明した,そこで,脳内移行率が比較的問題とならないペンチレンテトラゾ-ル(PTZ)投与モデルを用い,実験を行った。各個体で発作誘発閾値(30〜50mg/kg)のPTZを投与後,14Cー2DGを投与しグルコ-ス代謝をラベルするとともにEEGーVIDEOモニタリングを実施した。ついで,Halothane麻酔下に脳梁離断を行いその2時間後に,再び同量のPTZを投与し,3Hー2DGでグルコ-ス代謝を測定するとともに,脳波と発作を観察した。脳梁離断後,完全に発作が消失(4/5)あるいは,持続性発作が消失(1/5)するとともに,左右脳波の波形類似性が大きく低下していた。グルコ-ス代謝率は,両側大脳皮質,基底核,視床で明らかな低下が認められた。
|