Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
被験者として,9〜12歳の片側性唇・顎・口蓋裂児5名を実験群被験者,同一年齢群の正常咬合者5名を対照群被験者とした.咀嚼実験用グミジェリ-(硬軟2種)を咀嚼させた時の側頭筋後部および下口輪筋の咀嚼筋活動と下顎運動を申請者らの開発したシステムを用いて記録・解析した.また同一の被験食品を用いて,咀嚼開始から嚥下するまでの咀嚼回数(嚥下閾)および要した時間をそれぞれ計測し,咬合接触の部位および数も記録した.収集された資料についてデ-タ処理を行い,以下のような結果が得られた.まず下顎運動のパタ-ンについて,前頭面におけるパタ-ンをリバ-スタイプとノンリバ-スタイプに分類すると,対照群ではその殆んどが後者であったが,実験群では殆どが前者であり明らかな違いが認められた.また咀嚼時の側頭筋後部筋活動に関しては,ピ-ク電圧に対しては両群間に違いは認められなかったが,タイミングに対しては下顎運動パタ-ンの違いに応じた違いが認められた.下口輪筋に関しては,かなり変異に富むので大きな違いは認められなかった.次に,自由咀嚼を行わせた時の嚥下閾およびそれに要した時間に関しては,実験群は対照群と比べ大きな値を示した.またこの2つのパラメ-タおよびコンピュ-タ解析による咀嚼時間から,食片を咬合面に運ぶのに要する時間すなわち非咀嚼時間を求めた.その結果,多少の個人差はあったものの,実験群は対照群と比べ大きな値を示した.これは,口輪筋をはじめとする口腔周囲の筋肉の機能が,実験群では劣っていることを示唆している.咬合接触状態に関しては,実験群は対照群と比べかなり低い値を示していた.今後,被験者数を増加させて,唇・顎・口蓋裂者の咀嚼機能の実態を咬合論的な立場から,より詳細に解明していく予定である.
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