Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
光エネルギ-の貯蔵システムに対する有機化学的アプロ-チとして,ワクドリンシクラン(Q)【double arrow】ノルボルナジエン(N)の原子価異性反応が最も広く検討されている。ひずみとしてQに貯蔵されたエネルギ-を酸触媒反応によって放出し,同時に,QをNへ変換する系を我々の研究の特色の一つとして実験を重ねてきた。本課題ではひずんだQの結合を酸化還元触媒によって開裂させ定量的にNへ誘導する反応について検討した。 1 Qの酸化電位はそれ自身低い値(0.91V_<vs>SCE)を示すことはすでに知られているが,phenyl,methoxy methyl,methyl基などの電子供与基をQへ導入して電子過剰なQを合成して,これを0.83Vまで低下させた。 2 1で得た化合物に対する各種金属酸化物(約30種)の反応活性を調べた。Qそれ自体の反応性は低いが,電子過剰なQの反応性は大きく,特にRa_<03>,V_2O_5,PbO_2などは強い活性を示し定量的にしかも瞬時にNを与えた。しかし,M_00O_3,Sb_2O_3などの様に複雑な副反応を伴いN骨格以外の生成物を与える場合もある。 3 酸化剤としてpーキノン誘導体について検討した。Q誘導体とpーキノン誘導体の組合せによって全く異なる反応形式が見られ,また複数の主成物を与えることが明らかとなった。生成物の完全な分離と完全な構造決定は終っていないが,現在各種スペクトルによる解析を進めている。この反応性の違いは,ひずみ結合の酸化的開裂反応の整理を行う一つの指標として使えるのではないかと考えている。
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