Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
遺伝子の酸化的障害の大部分は活性酸素種によると考えられている.活性酸素種とは、酸素の一電子還元体であるス-パ-オキシド,ハイドロキシラジかル,過酸化水素,一重項酸素,過酸化物,金属酸素錯体,などを指すが,これらの中でもス-パ-オキシドは他の活性酸素種生成過程において,源に位置しており,最重要の反応種といえる.そこで本研究では普遍的に常時細胞内で生成しているこのス-パ-オキシドの反応性を明らかにすることを目的として実験を行った. 従来、活性酸素による毒性発現のほとんどが,鉄触媒によるハ-バ-ワイス反応から生成するハイドロキシラジカルよると考えられてきた.本反応は鉄が存在しない場合には進行しないこと,ハイドロキシラジカルが極端に不安定で寿命が短いこと,などから最終活性種として疑問視する報告もある.私どもは,本研究によりス-パ-オキシドと過酸化水素の反応によりハイドロキシラジカルではなく,ハイドロパ-オキシアニオンとハイドロパ-オキシラジカルが生成することを明らかにした.生成したハイドロパ-オキシアニオンはエノン類を高収率でエポキシ化した.またス-パ-オキシドは一電子還元剤として反応性のみならず、塩基としての性質も有し,イミダゾ-ル,アデニンなどのNH基からプロトンを引き抜きハイドロパ-オキシラジカルを生成することも明らかにした.これらの結果はス-パ-オキシドが二次的に高い酸化能を有する反応種になることを示しており、興味深い結果である.また私どもはス-パ-オキシドがヌクレオチドから核酸塩基を切り出すことも見出した.この反応はヌクレオシドでは極端に低収率となり、リン酸エステル類のこの反応への関与が示唆された。添加剤としてある種のリン酸エステルを存在させることによりヌクレオチドからも核酸塩基の遊離がみられた.これらの結果は遺伝子損傷において非常に有用な知見である.
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