Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
断眠したラット脳幹の抽出物について,睡眠促進用を検定しながら各種クロマトグラフィ-を用いて活性物質の精製を行った.生物検定では,自由行動下のラットの第三脳室に生理食塩水に溶解した試料を夜間10時間連続注入し,脳波,筋電図,脳温等のパラメ-タに与える効果から覚醒,徐波睡眠および逆説睡眠状態を判定し,生理食塩水のみを注入した前夜の同時間帯の結果を対照として睡眠促進効果の有無を決定した.その結果得られた活性画分のひとつである粗SPSーBを最終的にHPLCで精製し11画分に分取した.生物検定の結果,クロマトグラム上の単一ピ-クに相当する第9画分が徐波睡眠を14.2%,逆説睡眠を45.9%有意に増加させる活性を示した.そこで構造解析に十分と考えられる量のSPSーBを得る目的で断眠ラット470匹分に相当する粗SPSーBを同様の条件で精製,分取したところ0.9mgの純粋なSPSーBを単離することができた.ついでSPSーBのFABーMSおよび各種のNMRスペクトルを解析した結果,SPSーBは酸化形グルタチオン(GSSG)であることが推定された.そして上記スペクトルデ-タおよびHPLCにおいてGSSGの標品と比較することにより,同定することができた.さらにGSSGの標品を生物検定にかけたところ,総量25nmolの10時間連続投与で徐波睡眠を34.0%,逆説睡眠を74.1%有意に増加させる作用を示した.以上の結度より断眠したラットの脳幹中の内因性睡眠促進物質のひとつであるSPSーBは酸化型グルタチオンであることを確定できた.今後はまず覚醒ー睡眠周期と脳内特定部位におけるGSSGの量的変動の関連をマイクロダイアリス法を利用して検討し,睡眠機構におけるGSSGの役割を解明したい.また未解明のSPSーXの単離,構造解析も行う計画である.
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