Project/Area Number |
02670997
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 友房 岡山大学, 薬学部, 教授 (80012673)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | アデノシン輸送 / カチオン共役 / フォルマイシン / 腸炎ビブリオ |
Research Abstract |
カチオン/基質共輸送は細胞膜における能動輸送の主なメカニズムの1つである。共輸送系における共役カチオンとしては、微生物細胞の膜から動物細胞の膜に至るまで、H^+もしくはNa^+が用いられている。腸炎ビブリオは、生育にNaClを要求する点、アデノシン三リン酸などのヌクレオチドを利用して生育できる点など、特微的な性質を有する。我々は腸炎ビブリオがなぜNaClを必要とし、いかにしてヌクレオチドを利用しているのかを明らかにすることを試みた。その過程で腸炎ビブリオの細胞膜にはいくつかの極めて興味深い系があることを見いだした。その1つがアデノシン輸送系である。上述のように、すべての生物のカチオン/基質共輸送系は、H^+かNa^+のいずれか一方を共役カチオンとして利用するが,腸炎ビブリオのアデノシン輸送系はH^+とNa^+の両者を同時に共役カチオンとして用いることが、以下のような実験の結果わかった。1)我々はアデノシン輸送系を見いだし、これがNa^+との共輸送であることを明らかにしたが、この輸送はH^+コンダクタ-であるCCCPによって強く阻害された。2)アデノシンの取り込みに伴うNa^+の取り込みの他に、H^+の取り込みも見られた。3)このH^+の取り込みはNa^+によって促進された。4)単一変異によっておこるアデノシン輸送系の欠損変異株ではこのH^+の取り込みもNa^+の取り込みも同時になくなった。これらの結果はH^+/Na^+/アデノシンの共輸送が同一の輸送担体を介して行われていることを示している。このような例は生物界においてこれまで報告されていないまったく新しいものである。このような新しいタイプの輸送系が発見されたことで、他の生物にもこのような系が存在する可能性がでてきた。なおこの輸送系は抗生物質フォルマイシンも基質として輸送する。すなわち、この系の変異がフォルマイシンの耐性にも関係することがわかった。
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