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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
本年度は脳内で睡眠誘発機構として重要な役割を果す脳幹網様体におけるピペリジン含量とREM睡眠との関連について興味ある知見を得るとともに,単離ニュ-ロンに対するピペリジンの作用を詳細に検討した結果,ピペリジンが従来の化学伝達物質,睡眠誘発物質とは明らかに異なる作用機序をもつ事が明らかになった。 1.F位脳幹をパンチングにより青斑核とα傍核を含む中脳網様体+橋三叉神経前部網様体(MPR)とその残部組織(MPRーR),被蓋巨大細胞野と大細胞性網様核を含む橋三叉神経後部網様体+延髄網様体(POR)とその残部組織(PORーR)の4部位に分けてピペリジン量の変動を調べた。その結果,REM断眠時のピペリジン量はMPRで対照群の約1/4,PORでは約1/2に減少しており,REM反跳時には逆にMPRで約2倍,PORでは約1.4倍に増加していた。MPRーR,PORーRでは網様体にくらべピペリジン量はもともと少なく,REM断眠・反跳時にも有意な変動は認められなかった。この事実はピペリジンがREM睡眠と密接に関っている事を示唆する。 2.アプリシアの単離ニュ-ロンにおいてピペリジンはニコチン作動薬類似のCl^-電流を惹起した。諸種kineticsの解析及びCl^-電流の薬理学的解析の結果,ピペリジンは内在性のニコチン様物質であるという。これまでの主張が単一ニュ-ロンのレベルでも裏付けられた。また,ピペリジンはニコチニック受容体ーCl^-チャンネル複合体の少なくとも2つの成分に対して作用し,ピペリジンによるCl^-電流はアセチルコリンによるCl^-電流にくらべて,ピ-ク電流に続く持続的な電流がほとんどないに等しい極めて特徴のあるCl^-電流であることを見出した。さらに,ペピリジンの前処置によってアセチルコリンのピ-ク電流のみが抑制されることも分った。
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