Research Abstract |
Ph'陽性白血病はstem cellに近いレべルでの白血病として知られており,またPh'陽性急性白血病(以下 Ph+AL)の中には,いわゆるMixed lineage leukemiaの性質を有するものがある。一方,Ph+ALのなかには,慢性骨髄性白血病(以下 CML)と同じMーBCR部分で切断を有するものとそうでないものがあり、両者の間で白血病細胞の性質がどのように異なるかは興味深い。そこで、Ph+ALについて白血病細胞のもつ性質を明らかにする目的で、免疫関連遺伝子再構成について検討すると共に,一部の症例では,in vitroでのサイトカインに対する反応性について検討した。 本年度検討したPh+AL(12例)は,MーBCR再構成の有無により,MーBCR rearranged Ph+AL(6例)とMーBCR nonーrearranged Ph+AL(6例)に大別され,前者はCMLの亜型と考えられた。一方、免疫関連遺伝子再構成より,これらの遺伝子再構成以前に生じたと考えられるstem cellレベルでの腫瘍化の存在が示唆された。即ち、全例CD19,CD10陽性で,B precursorの性質を持ちながら12例中3例では,Ig遺伝子構成を認めず、この表現型と遺伝子型の解離という現象はPh陽制細胞の一つの特徴であろう。 また,サイトカインに対する反応性という側面から見ると,MーBCR rearranged Ph+ALの例ではGーCSF,ILー3などに対し,in vitroで反応が見られた。このように,遺伝子解析,サイトカインに対する反応性を含めた多角的解析によりPh陽性細胞の生物学的特性を明らかにすることが,適切な治療法の選択への歩一歩であり,今後の課題といえる。
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