Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
ヨルダヌスの『算術』は中世理論数学の代表的著作である。にもかかわらずその校訂版はまだ作られていない。本研究では,現在16の知られている写本のうち4つを用いて,命題に関する部分の暫定的な編集版を作った。使用写本はつぎのものである。(Paris,BN.のものは1つも入手できなかった) Firenze,BNC.MS.Conv.soppr.J.I.32,fols.167^vー211^v Vatican,MS.Ottob.lat.2069,fols.11^rー51^v London,BL.MS.Harley 4973,fols.1^rー33^v Venice,MS.Lat.Z.332,fols.40^rー85^v 暫定的に判明したことはつぎのことである。 1.『算術』は極めてユ-クリッド的ボエチウス的な理論書であって,中世の大学での使用に耐えられるものであったこと。ルフェ-ブル・デタ-プルがなぜフランス・ルネッサンスにヨルダヌスを印刷(1496年)したかは,それがボエチウス『算術』の次に読まれるべきものと考えたからであろうということ。 2.アラビア数学の影響はみられないということ。また同様に,当時大学外で大いに盛んであったイタノア式実用数学とは無縁であったということ。 3.写本には少なくとも2つの系統があるということ。 4.ルフェ-ブル・デタ-プルによる編集版はかなりの点で写本類から逸脱していること。つまり,彼は何かを付け加えたり,証明を変えたりしたこと。
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