遺伝子破壊法による酵母プロテアソ-ム(巨大蛋白分解酵素複合体)の機能解析
Project/Area Number |
02680137
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物質生物化学
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 啓二 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (10108871)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | プロテアソ-ム / 多機能プロテア-ゼ / 多成分複合体 / 遺伝子破壊 / 細胞増殖 / 分子遺伝学 / 酵母 |
Research Abstract |
プロテアソ-ムは真核生物に普遍的に存在する巨大な多成分複合体であり、この新種の細胞内プロテア-ゼの生物機能を解明する為に本研究では酵母系を用いて分子遺伝学的解析を行った。酵母プロテアソ-ムを構成する3種のサブユニットのcDNAをクロ-ニングし、これらの遺伝子をPRS1,2,3と名付けた。PRS1遺伝子の機能を解明する為、その翻訳領域と5'ー非翻訳領域でマ-カ-遺伝子の挿入破壊を行った。四分子分析の結果、翻訳領域での染色体遺伝子の破壊の場合にのみ劣性致死効果を示し、栄養素要求性解析サザンブロット分析の結果も遺伝子の欠失が証明された。またPRS2及びPRS3の遺伝子破壊も同様な劣性致死効果を示した。これらの結果、即ちプロテアソ-ムを構成する3種類のサブユニットの各々が細胞の生存・増殖に必須であることは、個々のサブユニットの各々が機能的に重要で必須であると言うよりも寧ろ、多成分複合体としてのプロテアソ-ムの機能が生理的に重要であることを示唆している。恐らく、各々のサブユニットの染色体遺伝子の破壊による欠損は正常なプロテアソ-ム複合体の構造維持や機能発現に支障を来し、その故に細胞の増殖が停止したと想定される。本研究で得られた結果はこの巨大な分子集合体であるプロテアソ-ムが細胞にとって不可欠な生理機能を担っていることを直接的に証明したことを意味している。現在、このプロテアソ-ムの必須性の分子機構を解明する為に、誘導制御の可能なGALプロモ-タ-をPRS1遺伝子の5'ー上流領域に連絡し、この遺伝子の発現制御に基づいて細胞周期が停止し、死に至る機構を解析しつつある。この細胞増殖の停止機構を解析することによって、逆にプロテアソ-ムの正常な機能を解明する計画である。これらの酵母系での分子遺伝学的研究はプロテアソ-ムの生理機能解析に最も強力で且つ、有力な実験系と思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)