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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
高配向性常分解黒鉛:HOPG,原子炉用等方性黒鉛,ガラス状黒鉛を材料試験炉で原子炉高速中性子照射し,陽電子消滅(角相関,寿命)および中性子小角散乱を測定して,照射による欠陥形成,構造変化,化学結合変化を調べた。またラマン分光測定および重イオン照射装置の準備を進めた。主な結果を以下に列記する。 1.陽電子消滅 HOPG(UCARーZYA),等方性黒鉛(IGー110U),ガラス状炭素(GCー10,ー20,ー30)を1×10^<19>および2×10^<20>n/an^2の照射を行った。HOPGでは照射前,C軸平行および垂直方向の角相関曲線の間に大きな差異(異方性)が認められた。これはC軸に平行方向ではπ電子の運動量分布を反映したBimodalな分布が得られることに依る。1×10^<19>n/an^2の照射後はこのBimodalはほぼ消失し,異方性も大きく減少した。これは照射によって導入された原子空孔に陽電子が高い確率で捕獲され、そこの電子と対消滅するためである。この空孔捕獲によって陽電子寿命が大きく延びた。即ち照射前では約220psの寿命(バルク寿命)が,照射によって約290psの空孔長寿命成分(強度87%)を示すようになった。2×10^<20>n/an^2照射後では,長寿命成分は約320psへと更に増加した。これは空孔クラスタ-の形成に依ると考えられる。等方性黒鉛では照射前で既に多くのポアが存在するために,約400psの長寿命成分が認められる。照射後はポア以外のマトリックスの部分に空孔が導入されるために,逆に長寿命成分は約320psに減少する。GCー10とGCー20,ー30とでは照射効果が対象的であった。即ちGCー10の長寿命成分は照射によって延びるのに対し,GCー20,ー30では逆に減少した。このような差異はマトリックスの黒鉛化度の差異に依ると考えられる。 2.中性子小角散乱、ポア慣性半径(GCー30,Rg=19.3A^^゚)は照射によって変らないが,その後の焼鈍によって黒鉛化が進み僅かに減少した。
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