Research Abstract |
理論的考察:証明を,3つの水準、すなわち経験的証明,内容的一直観的証明そして形式的証明に分類した。経験的証明とは,帰納法や計算による検証を意味し,内容的一直観的証明とは,証明の根拠は明確に示されている(内容的)が,実在的なものや主体の経験や直観と結びついている(直観的)証明のことをいう。操作的説明がその例である。形式的証明とは、記号や言語による,いわゆる演繹的証明のことである。本研究では,内容的一直観的証明に独自の位置づけを与え,その役割として,形式的証明を生成したり,逆にその証明を納得させる2重の役割をもつ証明として,その重要性を考察した。 実験:上の理論的考察に基づいて,大学生(201名)や現職教師(93名)を対象に,彼らが数学的証明をどのように捉えているかを調査した。 その結果,次のことが明らかになった(一部分)。 (1)大学生も現職教師も数学的証明とは何かの理解を十分にもっていること。 (2)大学生の85%,現職教師の74%は,特殊な代表例による説明を根拠のある演繹的説明を見,大学生の55%,現職教師の65%が操作的説明を演繹的説明と見ていること。また,彼らの30〜40%が,内容的一直観的証明が,形式的証明を生成し,納得させる証明であると評価していること。
|