Research Abstract |
スペイン内戦関係文献については,日本国内の各図書館の蔵書の多くを利用することができた。また,スペイン,フランス,イギリス,ドイツ,アメリカ合衆国で公刊された研究文献を購入し,そのうちのいくつかを読むなかで国際的な研究状況を知ることができた。 エチオピア戦争関係文献については,まず文献リストを作成した。このうち国内の文献は,わずかである。イタリア,イギリス,アメリカ合衆国で公刊された研究文献を購入し,そのうちのいくつかを読むなかで国際的な研究動向を知ることができた。 このような研究のなかで,従来,切り離されて考察されて来たスペイン内戦とエチオピア戦争の関係が,ヨ-ロッパ国際政治のうえでも,また,とくにヨ-ロッパ各国民衆の戦争にたいする反応のうえでも,密接なものであったことを知ることが出来た。前者については,とくに,イタリアの地中海制覇政策と,それを阻止しようとするイギリスの対応が一つの焦点をなしている。後者の問題の一つの典型は,イタリアがエチオピア戦争では,大規模な毒ガス戦を展開したのに,スペイン内戦では意識的にそれを避けたことである。後者の問題については,これをもう少し実証しようとして,1990年8〜9月に私費にてロンドンのパブリック・レコ-ド・オフィス等の文書を閲覧して来たが,滞在期間が短かったため関係文書の約三分の一を見たにすぎなかった。しかし、このような問題点について、同年9月にマドリ-ドで開かれた国際歴史学会議のあるセッションで発言した。 今後は、上記パブリック・レコ-ド・オフィス,スペインの資料館,イタリアの資料館などの文書を見るなかで、今年度に研究した国際的研究成果をふまえて、国内外の雑誌に研究成果を公表していきたい。
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