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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
近年,化学振動現象を示す反応に化学者の関心が集まり,新しい反応系の開発とその反応機構の解明に関する研究が行われているが,それらは物理化学的研究が主であり,有機化学の観点からの研究は皆無と云ってよい。本研究の目的は,この種の反応を有機化学の観点から解析し,化学振動に起因する新しい官能基変換反応を開発することである。 まず最初に,ランタニド系水素吸蔵合金存在下でのオレフィンの水素化について検討した。合金としてランタンーニッケル,サマリウムーコバルトを用い,スチルベン,トランの水素化を行った。常温,常圧での反応は,3時間以上の反応時間を要したが,超音波照射下では30分以内に反応は完結した。 一方,化学振動に基づく絶対不斉合成の実現を目ざして,ニ級アルコ-ル,スルフィドの酸化について検討した。すなわち,典型的な化学振動反応であるベロゾフージャポチンスキ-反応のもとで,αーフェネチルアミン,メチルフェニルスルフィド,tーブチルメチルフェニルホスフィンの酸化を行った。しかしながら,種々反応条件を変え,広範に実験を行ったが,絶対不斉が実現した確証を得ることができなかった。 このように,現在までのところ,本研究の大きな目的を達成するには至らなかったが,光学活性ホスフィンボランの新規合成法を確立することができた。この方法により,設計したキラルリガンドを容易に合成することができる。また,リン原子上で立体反転で進行する親電子置換反応も見い出した。さらにホウ素原子上にジアニオンを有する新活性種を創出することに成功した。
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