ヒドラの散在神経系における神経回路網の形成と維持機構
Project/Area Number |
02804064
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
動物発生・生理学
|
Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
小泉 修 福岡女子大学, 家政, 教授 (50094777)
|
Project Period (FY) |
1990
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 神経回路網 / 発生神経生物学 / 散在神経系 / 突然変異体 / 螢光抗体法 / 再生 / 形態形成勾配 / ヒドラ |
Research Abstract |
腔腸動物ヒドラは、動物界でもっとも単純な神経系、散在神経系を持ち、脳や神経節の分化が見られず体全体に神経網を形成している。最近、神経ペプチドの抗血清および単一クロ-ン抗体を用いた蛍光抗体法により、whole mount標本でこの神経網を正確にかつ詳細に観察することが可能になった。その結果、散在神経系と言えども体全体に神経網が均一に分布しているのではなく、神経系は多くの部分集合から成り立っていて、神経網は極めて部位特異性の高い分布を示すことが判明した。 申請者は、ヒドラの強い再生力を利用して頭部再生中の神経網の形成過程と出芽中の頭部神経網形成機構について、神経ペプチドRFamideの抗血清、上皮細胞の部位に特異的な単一クロ-ン抗体、形態形成異常の突然変異体とそのキメラ、などを用いて神経網の形成機構を検討してきた。その結果、神経網形成が、再生中あるいは出芽中の上皮細胞によって供給される環境に支配されることを明快に示すことができた。 さらに、上述の研究成果を踏まえて、神経網形成中の神経細胞と上皮細胞の相互作用の分子機構について検討した。特にヒドラではよく知られている形態形成勾配の役割について検討した。その結果、1.形態形成勾配の異常を示す各種突然変異体は、神経分布と神経網再生の両者について異常を示し、その異常の傾向は形態形成の勾配異常と一致していた。又、2.Protein Kinase Cの2nd messengerである DAG(Diacylglycerol)でヒドラを処理すると、体幹の頭部形成促進能が上昇し、その時に、神経分布、神経網再生とも、変化がみられた。この変化は、高い頭部形成促進能を示す突然変異体と同様の変化であった。これらの研究結果より、ヒドラの神経網の維持と形成に、上皮細胞の形態形成能力の勾配が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)