Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
四万十帯は白亜紀〜第三紀の付加体から構成され,プレ-ト沈み込み帯で進行するプロセスを理解する重要な研究対象と考えられている。この四万十帯の大半は沸石相に属し,比較的浅所での付加作用の結果形成されたことが既に明らかにされている。しかし、より精度よく、どの程度の変形度,温度,圧力(深さ)のもとで付加したものかは不明である。本研究では四国の四万十帯を対象として,これらの点を検討した。 1.野外において,付加体を構成する2つの基本的ユニット,成層ユニットとメランジユニットを識別,メランジユニットの構造解析を行ない,このユニットが深部で構造的に付加した可能性が高いことを明らかにした。変形度を歪解析によって検討したが,押しつぶしが卓越している。 2.野外で採集した泥岩の密度を検討し,最深埋没深度を明らかにした。成層ユニットに比し,メランジユニットの泥岩は系統的に密度が大きく,埋没深度で数Km〜10Km程度深いことが明らかとなり,上記のメランジの深部での構造的付加モデルと調和的な結果となった。 3.温度履歴を検討するために,これまで報告されているビトリナイト反射率をユニットごとに再整理し,更に同一地域から泥岩を採集,イライトの結晶度について検討した。その結果メランジユニットが系統的にビトリナイト反射率,イライト結晶度ともに高く,上記にのべた結果と調和的な結果が得られた。 以上の研究の結果,付加体中のメランジについてこれまで様々に提案されているメランジの成因が四万十帯では10Km〜10数Kmの深度で,構造的に付加されたものであることがほとんど確定的となり,沈み込み帯での付加作用の実態がより明確となった。
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