Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
造岩鉱物中でのイオンの拡散機構を実験的に明らかにし,あわせて炭素質隕石に含まれるCaーAlに富むインクル-ジョン(CAI)の熱史を拡散の観点から推定する目的で,CAI中に最も普遍的に存在しているメリライト中に於ける陽イオンの拡散係数を回転引き上げ法により合成した試料を用いて測定した。 1.拡散係数 (1)相互拡散:メリライト固溶体中での主成分元素の拡散は化学組成によって大きく変化していた。この結果から1200℃で同固溶体中に於けるMgの拡散係数は,オケルマナイト組成中で10^<12>,ゲ-レナイト組成中で10^<ー15>cm^2sec^<ー1>と著しく変わる可能性が見いだされた。これはCAI中のMg同位体の不均一な分布を説明するうえで重要な手がかりと考えられる。 (2)トレ-サ-拡散:オケルマナイト中での2価陽イオンの拡散はその活性化エネルギ-に大きな差はなく,また拡散係数も1200℃に於いて10^<ー11>〜10^<ー12>cm^2sec^<ー1>の範囲におさまっていて元素間の拡散速度の差による樋位体分布の変化には大きな差はないことを示していた。 2.拡散係数とイオン半径 オケルマナイト中での陽イオンの拡散係数はCa,Sr,Baのような大きなイオンではオリビンの場合と異なりイオン半径の違いにともなう変化が少なく1200℃で約10^<ー11>cm^2sec^<ー1>であった。これはオリビンとメリライトの結晶構造の違いを明らかに反映していて,メリライト中の比較的大きなイオンを受け入れるMサイトの拡散への寄与がこれらのイオンに対して非常に大きいことを示していると考えられる。
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