Research Abstract |
本研究では,掘削幅が山留めの安定性に強く影響することを明らかにした。したがって,現行の山留め設計式の中には考慮されていない掘削幅の影響度を,定量的に組込み,より合理的な山留め設計式に再構築する必要のあることを提案できた。すなわち、 (1).振切り面の抵抗土圧特性が,掘削幅と山留め壁根入れ長との比によって,大きく異なることが,実験槽を使った室内実験より明らかとなった。 (2)一般に,掘削幅が狭い(以下,狭いとか,拡いとかは,根入れ長に比して)抵抗土圧は,せん断挙動ではなく,剛体が形成される複雑な性状を示し,受働土圧より大きな抵抗土圧を示す。このことは,すべり線が根切り面上に押し上げられる形状ではなく,向かい側の山留め根入れ面に突き当り,その結果,根入れ面と地盤との摩擦が抵抗土圧に寄与していることを示す。したがって,掘削幅が狭い程,この摩擦の影響は大きく,より大きな抵抗土圧を呈することになる。 (3)この結果,掘削幅の狭い山留め架構ほど,安定性は増加する。換言すれば,掘削幅の狭い現場では,より経済的な山留め規模で満足できることを物語っている。 (4)一方,掘削幅の拡い山留め架構の根切り面下の挙動は,一般的なせん断挙動,すなわち、過渡域から受働域に結がる塑性域が形成される。すべり線が根切り面上に突き出し,受働土圧の発生挙動に近似される性状となる。このため,抵抗土圧は受働土圧に近い。 (5)今後は,根切り面下のせん断挙動か,否かの発生が,掘削幅と根入れ長との比で,どの程度で論じられるかを定量的に検討しなければならない。
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