Research Abstract |
当初の研究計画にほぼ従って研究を実施してきたが,実験動物を測定の容易さが原因でマウスからラットに変更した.なお,マウスについては今後徐々に調べていく予定である.今年度に得られた結果は次のようである. 1.動物を入れたケ-ジの出入口のO_2,CO_2を質量分析計を用いた呼気ガス分析計で分析し,Luskらの式を用いて,一日のエネルギ-代謝量を算出したコンピュ-タ-に記録した.今回,一度に,4ライン(従来は,2ライン)を測定出来るように改良した. 2.記録したデ-タより,一日の消費エネルギ-量,基礎代謝量,安静時代謝量,活動量,安静時間,活動負担度,行動力,行動変化量,情動性(いずれも,体重補正ありとなし)を算出するプログラムを自作した. 3.エネルギ-代謝量の測定と行動解析以外に,体重は必ず測定し,その他,必要に応じて,摂食量,便量,運動量,臓器重量,血中成分,体成分などを測定ないし分析した. 4.食事条件としては,自由食,80%制限食,66%制限食,60%制限食,絶食とし,絶食の除いて,毎日同量食べる群(規則食)と2日サイクルで量を変化させた群(不規則食)を設定した.その結果,80%と66%食では,ラットは,摂食量に応じて体重を落としたが,行動解析や成分の結果を総合して考えると,質的な適応が見事に成立しており,その様相を詳細に調べることが出来た.これらの制限下では,不規則食の影響は,30〜40日で消失していた.それに対して,60%食では適応成立せず,体重は辛うじて維持していたが,その他の指標値はコントロ-ル(自由食)とは明白に異なった.これらの結果から,66%付近に適応限界があり,それ以下の制限食では慎重な配慮が必要であると判断した.現在,絶食下でのBMRの低下の様相を詳細に検討中であり,更に,食事の質の影響についても引き続き検討する予定である. 5.運動条件については,トレッドミルの購入が遅れたため,安静群のみの実験しか行えなかったが,年度末にミルを購入出来たので今後,運動と行動の関連を調べる予定である. 6.その他,週齢差と性差については,約1年にわたり,雄と雌の行動変化を追跡し比較を行うと共に,標準的な行動値を得た.今後は,肥満群の行動の特徴をつかみたいと思っている.
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