Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
水の水素と酸素安定同位体比(δDとδ^<18>O)から得られる指標であるd-excessをもちいて南極アイスコアからの気候変動記録の復元に関する研究をおこなった。おもな結果を、「雪生成実験」、「南極アイスコアd-excess記録の解析」にわけて示す。雪形成時の動的同位体効果を実証するために人工雪の生成実験を行った。本研究では、人工雪を生成する装置(防災科学技術研究所雪氷防災実験棟)を用いて、雪形成時の同位体分別実験をおこなった。その結果、過去の研究で理論的に予測されていたように雪のd-excessが氷に対する水蒸気の過飽和度に応じて予測される変動を示すことを示した。南極ドームふじアイスコアのd-excess記録を得るために水素同位体比測定をおこなった。測定の結果、過去約34万年のd-excess記録を明らかにした。さらに、南極アイスコアのd-excess記録を、水蒸気起源の気候変動記録として解釈するために、局地的な効果の影響を取り除く手法を提案した.この結果、ドームふじの補正後のd-excess記録は、海底コアから復元した海水の酸素同位体比の変動曲線、南半球中緯度から得られた海面水温の変動曲線と過去34万年にわたって、相関を示した。この成果を論文として発表した。さらに、前の氷期の後半(28000年から41000年前)について、詳細な時間分解能(〜40年)で分析した。南極ドームふじアイスコアの分析結果、δDとd-excessの記録はグリーンランドアイスコアに記録されている千年規模の気候変動と対応する変動を示していた。この結果は、北半球の急激な気候変動に対応して、南極の気温、ドームふじの水蒸気起源海洋の海面水温変動も変動したことを示唆している。
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Geophysical Research Letters 31(13)