Project/Area Number |
02NP0203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Creative Basic Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松野 太郎 東京大学, 理学部, 教授 (40037172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山形 俊男 九州大学, 応用力学研究所, 助教授 (50091400)
中島 映至 東北大学, 理学部, 助教授 (60124608)
杉ノ原 伸夫 東京大学, 理学部, 助教授 (50090519)
住 明正 東京大学, 理学部, 助教授 (10179294)
廣田 勇 京都大学, 理学部, 教授 (70025485)
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Project Period (FY) |
1990 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Keywords | 大気大循環 / 海洋大循環 / 気候モデリング / 海洋深層循環 / 成層圏 / オゾン / 大気潮汐 |
Research Abstract |
今年度は本研究計画の初年度にたるので、研究に必要な機器(ワ-クステ-ション等)の購入、数値モデルの設計など研究の準備を主に行った。ほかに、既存のデ-タを利用した予備的解析や既存の数値モデルを使った予備的数値実験も行った。これらのうち主な成果は次の通りである。 (1)アメリカの人工衛星によるオゾン観測(SBUV)デ-タの解析を行った。これまで余り注目されていなかった赤道域のオゾン全量の分布とその変動を解析したところ、赤道沿いに地球をとりまいて波数1のオゾン濃度の波があって高速で東に移動し、数日で地球を一周することがわかった。高度からみて、今までの断片的観測から知られていた、高速ケルビン波に伴う変動と考えられる。また、赤道域成層圏下部でのオゾンの分布とその季節変動・年々変動を調べた所、やはり波数1の構造があり、濃度最小の位置が顕著な年々変動をしていることがわかった。これは、エルニ-ニョ・南方振動に伴って赤道域での対流活動の中心が太平洋上を東西に移動するため、と解釈される。このように、オゾン濃度の解析によって大気大循環の短期・長期の変動を調べ得ることが明らかになった。 (2)既に開発した中層大気大循環モデルに日射加熱の日変化を取り入れて長期間の積分をし、その結果を解析することによって大気熱潮汐波の鉛直伝播と、その砕波による東西流加速機構を明らかにした。 (3)既存の単純化海洋大循環モデルを使い、長方形の海洋を想定して、大気からの加熱・冷却および風のストレスによって生み出される海洋大循環を調べた。その結果、海洋の大部分は、そのごく一部(実験の場合は南西隅)で冷却された水塊が全体に行きわたるプロセスとして熱塩循環が生じ、底層水・深層水ができることがわかった。この深層循環によって運ばれる赤道から極への熱輸送量は、観測と同じオ-ダ-であった。深層循環のパタ-ンは、古くストンメルとアロンによって定性的に求められたものと極めてよい一致を示すが、赤道上は例外で、東向流、西向流がうすい間隔でサンドイッチ状に重なる特別な流れの構造が現れることが始めて明らかにされた。 (4)既存の大気モデル・海洋モデルを結合した大気・海洋モデルを作り、全体を日射条件を与えて解き、大気・海洋結合系としての平衡状態がどのようなものになるか、熱輸送の大きさはどうかを調べた。完全に手放しの場合は、極と赤道の温度差が現実より小さくなること、しかし全体を合わせた熱輸送量は比較的実際に近い値となり、かつ、大気・海洋間の熱・水蒸気・運動量の交換にかかわる係数を変えると大気・海洋の間の分配は変わるが合計はほぼ一定に保たれるという面白い結果が得られた。 以上は何れも予備的結果であり、今後さらに吟味を要する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)