東アジアにおける人間活動に基づく生態系の劣化と修復
Project/Area Number |
02NP0206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Creative Basic Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 聰 東京大学, 農学部, 教授 (20032295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90003516)
定方 正毅 東京大学, 工学部, 教授 (30011175)
坂本 充 名古屋大学, 水圏科学研究所, 教授 (30022536)
小倉 紀雄 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015127)
但野 利秋 北海道大学, 農学部, 教授 (40001440)
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Project Period (FY) |
1990 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Keywords | 塩類土壌 / 土壌荒廃 / 砂漠化 / 潅漑強度 / 酸性雨 / 大気汚染 / 森林生態系 / 湖水生態系 |
Research Abstract |
中国・三河平原(黄河・海河・淮河の氾濫原から生成した半乾燥地帯の大平原)は古来から中国の重要な畑作農業地帯であり、多くの人口を養うに足りる土地の肥沃性が維持されてきたが,増加し続ける人口圧と頻発する干ばつとにより、過度の農地の開発と不適切な潅漑・水管理が強行されており、次第にこの地域の生態系バランスが崩れ始めており、随所に土地の廃退・砂漠化が目立つようになっている事実を確認した。とりわけ、過度の潅漑による浅層地下水の上昇は、土壌中の塩類の表層土への集積を促し、土壌の著しい塩類化を引き起していることを現地の土壌調査の結果から明らかにした。そこで,この地域の農業生産性を改善し、再び肥沃な土壌を取り戻すべく,中国科学院石家庄農業現代化研究所と共同研究を行うことを決定した。すなわち、塩類土壌の生成の直接の原因である多量潅漑を改め、効率的な水利用方法を確立するための基礎研究に着手する一方で、既に塩類化している土壌に対し、耐塩性作物種の導入を図り、土壌の塩性化に応じた栽培技術の確立を行うことにした。また,貴重な水の確保のために,塩水を含む不良水質潅漑水からきわめて簡易な、低廉な「精製水製造装置」を考案し、次年度以降半乾燥地農業開発には必須の良質な水の節水潅漑法の具体的適用試験を行うことにしている。以上のように,本年度は中国における調査研究の準備を行い、とくに何が問題であるかを現地調査から明らかにして、その具体的実施計画の詳細を検討した。一方、本研究のもう一つの課題である酸性雨の調査研究では,東アジア地域においてSO_2発生量がとくに大きく、大気汚染による森林などの被害が生じている中国と酸性雨に関する共同研究を行うことにした。平成2年11月、日本側共同研究者が中国を訪問し、中国科学院生態環境研究中心、馮教授らと共同研究について綿密な討議と検討を行い,つぎのような項目について調査研究を行うことにした。1)酸性雨の化学成分,2)大気汚染物質の実態,3)酸性雨の湖沼生態系への影響,4)酸性雨の森林生態系への影響,5)酸性雨の土壌生態系への影響,6)大気汚染物質の発生源対策 その後、調査研究の対象地となる重慶市を訪問した。重慶市林業局、馬副局長らの案内で大気汚染が著しく、森林被害の大きい南山地区で現地調査を行い,1991年5月より上記項目について調査研究を開始することにした。また,重慶市の電力の90%以上を供給している重慶発電所を見学した。年間使用される石炭(硫黄分4%,灰分20%)は約240万トンであり、発生する媒塵量は年間2万トン,SO_2発生量も多く,質の悪い石炭の大量使用が酸性雨発生の大きな原因になっていることが考えられる。 以上のように,平成2年度は塩性土壌関係,酸性雨関係ともに現場の状況把握を行うことができ、その上で、次年度以降の具体的な研究項目と実施内容を明らかにし、いずれも中国側研究者と研究遂行の調印を締結した。
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Report
(1 results)
Research Products
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