発癌過程におけるタイプ1型プロテインホスファタ-ゼの異常発現の意義の解析
Project/Area Number |
03152002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊池 九二三 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (20006117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 佑亮 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (00002121)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
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Keywords | プロテインホスファタ-ゼ / SoltーFarber発癌系 / PP1 / PP2A / PP2C / ノザンブロット / 前癌状態 / 肝癌 |
Research Abstract |
われわれは、ラットcDNAライブラリ-よりタイプ1型プロテインホスファタ-ゼ(PP1)のクロ-ンを得、その塩基配列を決定し、これをプロ-ブに用いてノザンブロット解析を行い、腹水肝癌細胞AH13でPP1のmRNAレベルが異常発現していることを見出した。そこでその意義を明らかにする目的で、これに加えてさらにこれまでに得たタイプ2型の2分子種PP2AおよびPP2CのcDNAをプロ-ブに用いて、SoltーFarber発癌系でのプロテインホスファタ-ゼmRNAレベルを調べた。その結果、DEN投与後2週目でmRNAレベルが上昇し、5週目でピ-クに達しこの時、PP1α、PP2A、PP2CのmRNAレベルは対照のそれぞれ8、29、11倍まで上昇した。これに対し、SoltーFarber発癌系を経て発生した原発性肝癌では、いずれも対照レベルまで減少した。この原発性肝癌では腫瘍マ-カ-GSTーPレベルは前癌状態同様高値を示しているので、癌化によるmRNAレベルの減少はmRNA調製段階などで生じた人工的結果ではない。再生肝では術後24時間でPP1α、PP2A、PP2CのmRNAレベルはそれぞれ5、14、10倍に上昇した。すなわち前癌状態および再生肝でのmRNAレベルの上昇は、PP2Aで最も著しく、PP1は軽度の上昇であった。腹水肝癌AH13ではPP1αのmRNAレベルのみが異常上昇しており、PP2Aはむしろ明らかに減少し、PP2Cでは対照と同レベルであった。これらの結果は、PP1αのみが特異的上昇を示した進行癌AH13におけるプロテインホスファタ-ゼ遺伝子の発現が、前癌状態や原発癌の場合と大きく異なる。すなわち発癌プロモ-ションとプログレッションの両過程で、本酵素遺伝子の発現パタ-ンが異なることを示しており、このことは本酵素の各分子種が癌化の各段階でそれぞれ固有なかかわり方をしていることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)