担癌状態で活性化される肝類洞内の胸腺外Tリンパ球分化経路とその果す役割
Project/Area Number |
03152012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
安保 徹 新潟大学, 医学部, 教授 (30005079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花海 清 東北大学, 歯学部, 助手 (50005063)
増田 高行 東北大学, 医学部, 助教授 (00113910)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 1991: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 胸腺外分化T細胞 / 肝類洞 / intermediate TCR / αβT細胞 / 腫瘍免疫 / NK細胞 |
Research Abstract |
Tリンパ球は、胸腺で分化・成熟することが知られてきた。しかし、筆者らの研究で、肝類洞で胸腺外分化するT細胞も存在することが明らかになった。肝で分化するT細胞は自己応答性の禁止クロ-ンやVβ8T細胞が含まれていて、異常自己の監視機構として働いているものと考えられる。 本研究では、同系腫瘍とマウスを用いた実験系を用いて以下のことを明らかにできた。 1)担癌状態になると、胸腺が萎縮し、通常の胸腺内T細胞分化は抑制されるが、逆に肝類洞での胸腺外分化は促進する。 2)肝で分化、成熟するT細胞はILー2RβやLFAー1を常時発現しているのでαβTCRやCD3との二色染色法で、通常のT細胞と区別できる。 3)さらにTCRの発現が弱いのでintermediate TCR細胞と呼称できる。通常のT細胞はbright TCR細胞である。 4)肝で分化したT細胞は、腫瘍特異的キラ-活性を獲得した。 5)癌局所に浸潤するT細胞の約2/3がintermediate TCR細胞で、NK細胞と共に、この主体を成していた。 6)癌末期になると、胸腺内T細胞分化、胸腺外T細胞分化共に抑制されてしまう。なんらかの方法で、肝での分化を持続することが、今後の抗腫瘍療法の課題と考えられた。 これまでの腫瘍免疫学は、胸腺由来のT細胞にのみ注目してきたものである。腫瘍に立ち向うリンパ球の主体は、本研究によって、胸腺外分化するT細胞やNK細胞が主体であることが明らかにできた。新しい腫瘍免疫学が、今後も展開できるものと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)