TGFーβにより誘導される遺伝子の分離とその細胞増殖における機能の解析
Project/Area Number |
03152033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野瀬 清 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70012747)
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Project Period (FY) |
1991
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | TGFーβ_1 / 遺伝子誘導 / ロイシンジッパ- |
Research Abstract |
細胞増殖を正・負両面で制御する増殖因子TGFーβの作用機構を解明するため、TGFーβ_1により誘導される新規遺伝子を分離することを試みた。用いた細胞はマウス骨芽細胞MC3T3であり、この増殖はTGFーβ_1により抑制される。TGFーB_1で2時間処理した細胞からcDNAを作製し差引ハイブリダイズ法でスクリ-ニングを行なった結果、明らかな誘導を示す遺伝子(TSCー22)が分離された。mRNAのほゞ全長に相当するcDNAを分離し、全塩基配列を決定したところ、このmRNAは分子量約18KDaの蛋白質をコ-ドすることが予想され、この蛋白質は4個のロイシンを含むいわゆるロイシンジッパ-構造をとることが判明した。 TSCー22遺伝子はTGFーβ_1以外にも、血清、グルココルチコイド、コレラ毒素、PDGFなどによっても誘導され、発現のピ-クはcーjunと同様、刺激後2時間にあり、その後急速に減少した。発現は蛋白合成阻害剤に非感受性であり、TSCー22遺伝子は増殖因子刺激後に急速に誘導される“early response"遺伝子の一つと考えられた。 TSCー22 cDNAの試験管内および大腸菌内での発現では、塩基配列から予想された分子量18KDaの蛋白質が検出された。この蛋白質を抗原として抗体を作製し、メチオニン標識したMC3T3細胞を免疫沈降法で解析したところ、やはり18KDaの蛋白質が検出され、TGFーβ_1によりこの蛋白質の合成が上昇した。TSCー22蛋白質は、細胞質・核の両方に存在した。ヒトアクチン転写プロモ-タ-に結合したTSCー22遺伝子の発現系を作製し、3T3細胞に導入したが、この遺伝子の発現により細胞形質に顕著な変化は認められなかった。しかし、抗体による免疫沈降物の中に、分子量約100KDaの蛋白質がTSCー22蛋白と複合体を形成していることが明らかとなった。TSCー22蛋白質は以上の結果から転写の調節因子の一つであることが考えられ、さらに解析したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)