抗癌剤の腫瘍組織へのタ-ゲッティングを目指した組織分布機構の速度論的解明
Project/Area Number |
03152039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋史 東京大学, 薬学部, 助手 (80206523)
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Project Period (FY) |
1991 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1991)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | P糖蛋白 / 胆汁排泄 / 肝潅流 / ATP依存性排泄 / ビンクリスチン / フエノチアジン / 多剤耐性 |
Research Abstract |
抗癌剤の多剤耐性に関与することの知られているP糖蛋白が、近年、肝、賢などの正常組織の管腔側膜上に発現していることが明らかとなったことから、P糖蛋白の持つ生理機能の一つとして、生体外異物の排泄における役割が示唆される。今回の研究においては、この仮説を検証するために以下の研究を行った。まず、ビンクリスチン(VCR)を用いて、ATP依存性の取り込みが生じることを、ラット単離胆管側細胞膜を用いて証明した。さらに、生理的な条件下、すなわち血管構造が保持されたラット潅流肝を用いた解析を行った。門脈より、VCRを連続潅流し得られた定常状態において、流出液、胆汁および肝臓中VCR濃度を測定した。肝細胞における細胞内結合および、細胞内が負の膜電位の影響を補正すると、胆汁中では肝臓中の約1000倍の濃縮的胆汁排泄の生じていることが示された。また、P糖蛋白の関与する輸送の阻害剤として知られるベラパミル(VP)を50uMの濃度で潅流液中に存在させると、VCRの胆汁排泄が選択的に阻害された。一方、血管側細胞膜における輸送を反映する肝抽出率には大きな変化は観察されなかった。次に、ラットをフェノチアジン(PTZ)で処理することにより胆管側膜上のP糖蛋白を誘導させることにより、VCRの胆汁排泄がどのような影響を受けるかについて、単離胆管側細胞膜系、胆潅流系、in vivo系において調べた。抗P糖蛋白抗体を用いて膜上のP糖蛋白を定量したところ、PTZ処理により少なくとも5倍の誘導がかかっていることがわかった。また、この誘導に伴って単離膜へのVCRのATP依存性の輸送増大、潅流系、in vivo系におけるVCRの胆汁排泄クリアランスの増大が観察された。以上、VCRの胆汁排泄に関して、(1)濃縮的胆汁排泄の存在、(2)VPによる選択的阻害、(3)PTZ処理によるP糖蛋白の誘導に伴う胆汁排泄の増大という実験結果が得られたことから、P糖蛋白がVCRの胆汁排泄に積極的に関与することが示された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)